映画『マイペースマイスペース』のメインビジュアル
映画『マイペースマイスペース』のメインビジュアル
助成:文化庁

News

お知らせ

【上映会】12月17日(水)〜20日(土)14:00
in アートギャラリー884/東京・お茶の水

アートギャラリー884で上映会を行います。
日付:12月17日(水)〜20日(土)
時間:14:00
会場:アートギャラリー884 文京区本郷3-4-3 ヒルズ884 お茶の水ビル1F(御茶ノ水駅より徒歩7分)
入場料:500円

問い合わせ
Tel&Fax:03-5615-8843
mail:gallery884sano@gmail.com

【映画祭】台湾「第25回 身心障礙影展(障害者映画祭)」で上映。

台湾の障害者映画祭(2025.1016-12.03)に出品され、台湾各地で上映されました。
上映後には講演や座談会も開かれ、多くの観客が参加しました。
台湾では、ひきこもりのことを「繭居族」と呼び、その数は増加傾向にあるとされています。
この問題は社会的関心が高く、メディアでも頻繁に取り上げられています。

上映会のチラシ

Trailer

予告編

Introduction

イントロダクション

「私たちは息をしてるだけでも
まわりに迷惑かけてる

インタビュー風景
カフェ作業風景

『創-HAJIME-cafe』で働く人は、
かつて“ひきこもり”だった人たち。

一歩を踏み出し、社会と再びつながり始めた彼らは、
日々不安や葛藤を抱えながらも、自分らしく働こうとしている。

カフェで一緒に働く支援スタッフは彼らと向き合い、
「普通」とは少し違う、“その人に合った働き方”を、
共に試行錯誤しながら実践してきた。

古民家を改装した、ぬくもりあふれるカフェ空間。
ここには、張り詰めた心をそっとほどいてくれる時間と、
誰かとつながれる居場所がある。

Explanation

解説

2023年度、
不登校の児童生徒は
過去最多の41万人を超え、
自殺者も過去最多の
527人にのぼった。
若い世代を中心に
「生きづらさ」が深刻化している。

20代女性の自殺未遂も多く、15~64歳の「ひきこもり」は推計146万人、
平均期間は7~10年と長期化。
学業や就職、結婚など「普通」であることを求める社会の眼差しが
少なくない人々の人生を“むずかしいもの”へと追い込んでいるのではないだろうか…。

自分の価値を見いだせず不安を抱える人々が増える中
築100年をこえる古民家カフェで働く人々の中にカメラが入り、
各々が抱える想いを聞き出していく。

自分らしく過ごせる
「居場所」を見つけて
おだやかな日常生活を取り戻していく様子を描き出す
ドキュメンタリーである。

HeArt -HA- JoIn -JI- MovE -ME-

『創-HAJIME-cafe』

本作の舞台である『創-HAJIME-cafe』は、和歌山県紀の川市にある、社会福祉法人一麦会 麦の郷 ハートフルハウス創が運営している古民家カフェ。
そこで働いているのは不安や葛藤の中、社会との関わりから少し時間をおいた若者たち。
そんな、様々な生きづらさを抱えている若者たちが、新たな「自分」との出会い、「仲間」との出会いの中で心の解き放ちを行い、ゆっくり過ごす居場所。
またカフェで協同で働くことを通して、社会とつながりを創っていく。

創-HAJIME-cafe 外観
創-HAJIME-cafe 店内の様子 コーヒーとケーキ
「朝起きて、調子が悪いと感じたら
仕事は休む。 連絡もいらない

この“ゆるさ”には大きな意味がある。
無理をしない、強制しないという姿勢が彼らにとって、
安心して一歩を踏み出すための支えになっているのだ。
そう、ここは働く場でもあるが、居場所でもある。

創-HAJIME-cafe調理している光景
創-HAJIME-cafe調理している光景 創-HAJIME-cafe調理している光景

Comment

関係者コメント

「葛藤を抱えながら
新しい生き方をともに創る。
その想いが、 静かに発露する素顔を描く

野中康寛さんの写真

野中 康寛

社会福祉法人一麦会麦の郷
ハートフルハウス創

これは、出演メンバーが中心となり想いを込め考えた一節。
映像の中で静かに語る姿が、観る人すべてを優しく包み込む
「わたしたちは生きて(活きて)いる」と。
しかし、彼ら彼女らは単純には生きていない。
さまざまな葛藤は常に背後につき纏う、生きていいのだろうかと…。
私たちは、単に人生のサクセスストーリーを描いてほしかったわけではない、ありのままの姿を映し出し、それぞれにとっての生き方を保障する居場所があることを多くの人に知ってもらいたい。
そして、私たちを支える百年の時を刻んできた山崎邸には、不思議と悠久が織りなす無条件の受容がある。幾つもの時代を経てきた山崎邸とそれぞれの現在が交錯する温色が映像を通じて滲み出す、静かにそして力強く。

山本 耕平

社会福祉法人一麦会理事長
立命館大学、佛教大学・元教授、社会学博士

可能性を伝える

数名の映画人と「創」のメンバー、それにスタッフが作り上げた58分のドキュメンタリー映画。
その映画のなかに、その答えをみることができる。
ひきこもり当事者たちは、このドキュメンタリー映画「MY PACE MY SPACE」のなかで、各々の「ひきこもり」を語る。

私は、ひきこもりの研究を進めるなかで「ひきこもりつつ育つ」という概念を提起してきた。
それは、外に出ることがひきこもり状態を克服することだと考え、無理やりに外に出し、彼らがひきこもらざるをえなかった矛盾が溢れている社会に再適応させるのではなく、気長にひきこもりつつもそのなかで自己とは、自分の生き方とは見出し、社会に参加する力を獲得することが可能であるとの考えである。
その力を獲得するなかで、彼らは、社会を変革する力をも身につける。このドキュメンタリーを見、その概念の正しさを再確認し、自己満足に浸っている。

二通 諭

札幌学院大学名誉教授
障害者映像文化研究所顧問

心優しき人たちの記録映画

本作は、「ひきこもり者の全国推計値が146万人、不登校100万人時代」という現下の状況への実践的なアンサーです。
舞台となった古民家カフェは、ひきこもり経験のある若者たちにとって労働の場であり、居場所です。

個々の語りから想起できるのは、わが国では10年程前から流布されるようになった臨床心理学者のエレイン・ N ・ アーロン博士が提唱したHSP(ハイリ ー・ センシティブ ・ パーソン:とても敏感な人)という概念です。
私のところに相談に訪れる学生からも 「私はHSPかも?」という言葉も出てくるほど広く流通している言葉です。
HSPの方は、繊細ゆえに刺激を受け過ぎ、たとえば、雑踏、教室、コンパなどが苦手です。
共感性が高く、優しくで怖がりゆえ、叱責 ・ 怒鳴り声なども回避すべき有害な刺激となります。
HSPは医学的な概念ではありませんが、不登校やひきこもりの背景に広く存在する〝生きにくさ〟の状態像だといえます。
作中のコンビニで、「あんまんを買えない」というエピソードは、店員さんに余分な手間をかけるというのがその理由。となれば、さらに店員さんに手間をかけることになる「おでんを買えない」という方もいるでしょう。
心優しき人たちの困難と可能性を描いた白眉の一作です。

山崎 由可里

和歌山大学教育学部長
教授/教育学博士

創カフェは希望の光

いつの頃からか、日本社会は余裕・余力を失い、経済的に、精神的に追い詰められ生きづらさを抱える人が増えている。
そんな社会を阿部彩氏(東京都立大学教授)は『弱者の居場所がない社会』として著した。

『MY PACE MY SPACE』は、過酷な日本社会に静かに抗うかのような古民家にあるハートフルハウス創を舞台にしたドキュメンタリーで、たとえ生きづらさを抱えたとしても、「何とかなる」という希望の光だ。
ここは、いろんな悩みや生きづらさを抱える若者が、なかまと一緒におしゃべりやゲームを楽しみ、自分のペースで働き、各々の「居場所」となるところ。
まさに、My Pace My Space。言いえて妙である。
創には、「こうあるべき」という「像」は存在しない。なぜなら、創カフェにつどう若者たちは、世間が押し付けるスタンダード(「普通」)に追いつめられ傷つけられ、自信と「居場所」を失った経験をもっているから…。
開設されて10年―映像からは、スタッフが試行錯誤しながら若者たちへの支援の在り方を考え、「当事者がどうしたいのかを勝手に思い込まず、まず本人に訊こう」というスタンスに至る様子も伝わってくる。
そこからは「支援する・される」という一方向の関係性ではなく、いわば伴走型支援のあり様を見出すことができる。

Contact

連絡をとる

自主上映をご検討中の方、
団体での貸出をご希望の方は、
下記よりお申し込み・お問い合わせください。

社会福祉法人 一麦会 

麦の郷ハートフルハウス創

営業時間:9:00 - 17:00

(定休日:日曜日・月曜日)

映画『マイペースマイスペース』タイトルロゴ

【出演】‹創HAJIME-CAFE›関係者の皆さん、山本耕平(社会福祉法人 一麦会理事長)
岸本周平(前・和歌山県知事)【協力】麦の郷=社会福祉法人 一麦会、ハートフルハウス創、meglück(めぐりゅっく)
【制作協力】(有)ハヤシエンタープライズ、(有)アルテーロ、麦の郷印刷、
(有)鈴木映画、≪参考文献≫ 山本耕平『ひきこもりソーシャルワーク ~生きる場と関係の創出』(かもがわ出版)
【助成】文化庁文化芸術振興費助成金(日本映画制作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
【撮影】小原信之 古賀陽一 【監督・編集】古賀陽一 【プロデューサー】中橋真紀人
【製作】有限会社 イメージ・サテライト 【共同製作】一般社団法人 障害者映像文化研究所
ドキュメンタリー/2025年度作品 
映画に関するお問い合わせ:有限会社 イメージ・サテライト imagesatellite@hotmail.com